平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
すると見つめているリズに演説を披露するかのように、ベルベネット子爵は演技臭く身振り手振り語る。
「恐ろしい獣であるのは承知しています。けれど私は、なにぶん知的好奇心が強い男でしてね。グレインベルトに伝わる昔話も、グレイソン伯爵という領主の存在も、一族も、そしてまだ謎も多い白獣も好きなんですよ」
場に沈黙が漂った。
ややあってから、コーマックが同情の目で一言もらした。
「つまるところ、団長のファンみたいですね」
「やめろ。一気に警戒対象だ」
するとベルベネット子爵がくすくす笑った。
「ゆくゆく仲良くなりたいと思っていますよ。そのためにも、まずはこちらのお嬢さんを懐柔しましょうかね」
「えっ」
「そうですね、まずは好きな菓子を聞きましょうか。我が屋敷でのもてなしで用意させて頂きますよ」
甘いものでつろうとしてる?
なんだかベルベネット子爵の笑顔は、子供みたいだ。にこにこと覗き込まれたリズは、途端に緊張も抜けてしまった。
まるで子供の心を持ったまま、大人になった、みたいな人。
恐らく、今回の馬車の申し出についても、ベルベネット子爵には邪気なんて一つもないのだろうなと分かった。
彼はこの先、もしかしたらジェドの良い味方になってくれるのではないだろうか?
リズは、ふとそんな予感がした。
素顔を晒す相手が少ない彼の、社交界の良き協力者に――。