平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
その時、ジェドがむっと眉を寄せて、ベルベネット子爵と見つめ合っていたリズを自分の後ろに隠した。

「ベルベネット子爵、リズを誘惑したらただじゃ済まないぞ」

「ゆ、誘惑って団長様……!」

リズは焦ったが、男たちは無視して話を進める。

「私はいまだ未婚ですが、その気はないですよ。私が美しいのは持って生まれたものなので、世の女性に見とれられてしまうのは仕方のないことです」

「ますますリズを近付けたくなくなった」

「ははは、そうおっしゃらず。そもそも、くれと言ってもくれないでしょうに」

「何がなんでもやるもんか」

余裕もなくジェドが素で睨み付ける。

含む笑みを浮かべたベルベネット子爵の言いようから、リズとコーマックは婚約予定の一件を知っていることに気付いた。

貴族なので社交界繋がりで知っているのだろう。

だからリズを懐柔する、だなんて口にしたみたいだ。

だけど伯爵夫人になることはない。仲良くしてもベルベネット子爵に貴族的利点はなく、リズは途端に騙しているような罪悪感を覚える。

「ふふふ、やはりお若いですねぇ。やはりそっちが素でしたか。厳しい感じもますます素敵ですよ、グレイソン伯爵」

「一発殴っていいか」

ベルベネット子爵が、うふっと投げキッスを放った。その途端、話が噛み合わないことにジェドが切れた。

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