あの日の恋は、なかったことにして
「すず、俺のそばにいてくれて、ありがと」

 よほどトラウマになっているのか、猪狩くんは「ありがと」と「ごめんね」を繰り返す。
 そして、「好き」と何度も言ってくれる。


「早く結婚して、一日中ひっついていたい」

 私の存在を確認するように、体のあちこちを撫でさすりながら猪狩くんは言う。


「忘れているみたいだけど」
「なに?」
「私、2番目に好きな人と結婚するって言ったよね」
「あっ!」

 猪狩くんは、「すずの一番になりたい」「でも結婚したい」と交互に呟きながら、縋るような目で私の顔を覗きこんできた。

「穏やかかどうかは分からないけど、楽しい人生にするって保証する。あと、浮気は絶対にしない。だから、結婚相手に関しては妥協してくれない?」
「んー、そうだね。猪狩くんと一緒にいたら、たしかに楽しそう」
「でしょでしょ!」


 ぱあっと顔を輝かせる猪狩くんを見て、私は「この人と、一生いっしょにいるかもしれない」と予感めいたことを思った。

 こういうときの私の勘は、滅多に外れないのだ。


   ――END――
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