シークレットベイビー 弥勒と菜摘
✴︎
部屋はお隣さんなんて全くない、一件の家みたいだった。マンションじゃないのかもしれない⋯⋯ 。弥勒の部屋に着いて、どうせ広いんだろうと思いながら、扉を開けてもらって入ったら、違う意味でまた驚く。
ショールームみたいだった。
何にもない。
いや、あるんだけど、なんて言うか、生活感がない。磨き上げられた大理石の床の玄関は、靴が一足もない、エントランスも最初に置いたであろう置物しかない。
リビングは、家具しかない⋯⋯ 。
「何もないねー」
と弥勒も自分で言ってるけど、それはどうやら赤ちゃんの用意のことみたいだった。
「弥勒さん、ここ住んでるんですか? 」
「そうだよ。オレの自宅」
やっぱ、家だって。
でも広すぎて、がらーんてしてて、生活がなくて、寂しいかんじがする。
一子を抱いたまま、どこに座ろうかな、と迷う。
ソファーは立派すぎるし、何にもないし、部屋はどこまで何室あるのか分からないし、とりあえずこの台所近くの広い広い部屋の、キッチンの前の、何のスペースかわからないような囲まれたところに、
「あ、ここで。
全部いけます!
ほら、うちの部屋ぐらいですね〜」
と言ったら、すごく残念そうに
「そんな、勿体ない事、言うなよ」
と言われる。
「場所があるんだから。使って。
明日、いろいろ揃えよう? 」
と言ってから、菜摘をチラッと見た。
「それと君の服も」
「いえいえ、そんなことまで! 」
と慌てて言ったら、
「いや、せっかく女の子なのに勿体ないよ? 」
と残念そうに言われた。
この人。勿体ないって3回目だ⋯⋯ 。
1回目、一子にチャンスがあるのに教育が出来ないと勿体ないって言った。
2回目、せっかく広い場所があるのに使わないと勿体ないって。
3回目、菜摘は女の子なのに、変な服で女子として勿体ない⋯⋯ 。
この人にとって、何不自由もないはずなのに、この短い間にも3回も言った言葉。
元が十分に活かせない状態を言ってるようだ。持ってるものを、ちゃんと活かすべきだと。
それがきっとこの人の根本的な価値観なのかな、と思う。
そんな一面が見えてしまうと、何故か分からないけど、何だか心がキュッと痛くなった。
部屋はお隣さんなんて全くない、一件の家みたいだった。マンションじゃないのかもしれない⋯⋯ 。弥勒の部屋に着いて、どうせ広いんだろうと思いながら、扉を開けてもらって入ったら、違う意味でまた驚く。
ショールームみたいだった。
何にもない。
いや、あるんだけど、なんて言うか、生活感がない。磨き上げられた大理石の床の玄関は、靴が一足もない、エントランスも最初に置いたであろう置物しかない。
リビングは、家具しかない⋯⋯ 。
「何もないねー」
と弥勒も自分で言ってるけど、それはどうやら赤ちゃんの用意のことみたいだった。
「弥勒さん、ここ住んでるんですか? 」
「そうだよ。オレの自宅」
やっぱ、家だって。
でも広すぎて、がらーんてしてて、生活がなくて、寂しいかんじがする。
一子を抱いたまま、どこに座ろうかな、と迷う。
ソファーは立派すぎるし、何にもないし、部屋はどこまで何室あるのか分からないし、とりあえずこの台所近くの広い広い部屋の、キッチンの前の、何のスペースかわからないような囲まれたところに、
「あ、ここで。
全部いけます!
ほら、うちの部屋ぐらいですね〜」
と言ったら、すごく残念そうに
「そんな、勿体ない事、言うなよ」
と言われる。
「場所があるんだから。使って。
明日、いろいろ揃えよう? 」
と言ってから、菜摘をチラッと見た。
「それと君の服も」
「いえいえ、そんなことまで! 」
と慌てて言ったら、
「いや、せっかく女の子なのに勿体ないよ? 」
と残念そうに言われた。
この人。勿体ないって3回目だ⋯⋯ 。
1回目、一子にチャンスがあるのに教育が出来ないと勿体ないって言った。
2回目、せっかく広い場所があるのに使わないと勿体ないって。
3回目、菜摘は女の子なのに、変な服で女子として勿体ない⋯⋯ 。
この人にとって、何不自由もないはずなのに、この短い間にも3回も言った言葉。
元が十分に活かせない状態を言ってるようだ。持ってるものを、ちゃんと活かすべきだと。
それがきっとこの人の根本的な価値観なのかな、と思う。
そんな一面が見えてしまうと、何故か分からないけど、何だか心がキュッと痛くなった。