シークレットベイビー 弥勒と菜摘
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翌日の夕方から一子は高熱をだした。
多分、よく言われる知恵熱とか、突発性とかかな。ちゃんと知識もあるのに、実際、わが子(じゃないけど)が、真っ赤な顔をしてぐったりしてると、すごく不安で怖くて心配で何もできなかった。

診察は明日で大丈夫だろうか、
夜間診察に行った方がいい? 子供が熱を出したぐらいで、救急車を呼ばないで下さい、なんて話も聞くから、行くならタクシー?

そろそろ弥勒も空港に着く頃だろうか、いてもたってもいられず、弥勒に電話した。


「いま、空港に着いたよ」


声を聞いてほっとして、身体中の力が抜けた。


「高熱がでちゃって」

「菜摘が? 」

「ううん、違うの、一子が⋯⋯ 」


[ぴろーん]
と、すぐに弥勒から地図が送られてきた。


「この小児科、親戚なんだ。近所だしすぐ迎えに行ってもらうから、入り口まで降りれる? 」


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「あー、大したことなさそうですね。
でも3ヶ月になってないから驚いたでしょう」


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弥勒の言う通り、一子を抱いてマンションを降りたら、迎えの車がきていて、近所の大きな小児科ですぐ診察を受けた。

先生にそう言われた。でも逆に菜摘の様子を見て、


「入院させとこうか? 
いや、重篤って意味じゃないよ。
それより、ちょっとゆっくり休んだほうがよさそうだ、あなたの方が。
お母さんが倒れたら、もっと困るからね」

「お願いしていいんでしょうか⋯⋯ 」


なんて言っていたら、廊下から足音やら話し声が聞こえてきた。

聞き慣れた、彼の声。
弥勒の声。



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話があるって言ってた。
でも、こんな事、想像もしてなかった。
血が凍るような、そんな気持ち。
不思議と、全く考えつきもしなかったんだ。


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