シークレットベイビー 弥勒と菜摘



一子がいないのに、弥勒と一緒にいる理由がないから。


一子がいないから、2人のことを話したい。



✴︎



弥勒は菜摘を弥勒の部屋に連れて行った。
菜摘はあまり入ったことがない。
ただ、いつ人に入られても大丈夫なぐらい、物が少なくて整然ときちんとしている。


「一子のいるところではと思ったし、気持ちをまとめるのに、サンフランシスコまで行って⋯⋯ 」


言いかけて、ふと、菜摘の顔を見る。
菜摘の泣き腫らした目を撫でて、


「オレたちどうしたらいいんだろうね」


と弥勒がポツリと言った。
またポロポロ泣いてたら、弥勒の胸に抱き寄せられた。


「しない? 」


って聞かれた。


「何を? 」


って泣きながら聞いたら、


「SEX」


と言われた。


「だ、だって、弥勒はさっきの人とかとするんでしょ? 」


って顔を隠していったら


「それで、そんな顔してたの? 」


と優しく言われた。


「しないよ。さっきの人とは。したくない」


それから頭を下げて、耳に囁かれた。


「オレがしたいのは、菜摘だけだよ」


と言われて、驚いて、ぱっと弥勒の顔を見た


「えっ⁈ 」



✴︎



「オレたち、何十年もこうして暮らすの?
むなしくない? 」


と弥勒は言った。



「ニ子も三子も欲しくない?
オレはほしい」


とさらに言ってから、


「あぁ、これじゃまた逆だ」


と少し怒ったように言った。


「違う、そんなことじゃないんだ。話そうと思ったのは」


と自分の髪を撫でつけるようにしてため息をついた。
それから、菜摘を部屋にある椅子に座らせた。


「ちゃんと話そうと思ってたのに、めちゃくちゃだね」


と言いながら、部屋にある小型の冷蔵庫から水を出して、グラスに2つ入れて、一つを菜摘に、もう一つを一息に飲み干した。


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