世界でいちばん 不本意な「好き」


ショーマと付き合ったのは高1のとき。たいした期間じゃなかったけど周りからは今でも付き合っていたころの話をされる。印象深いんだって。


入学して一番最初に名前を覚えたのは日南ショーマだったかも。

誰彼構わず仲が良いけど、じつは特定の人との付き合いはない浅く広くな人間関係。軽薄なのか、それとも意図してなのか、先に興味を持ったのはたぶんわたしからだった。


同じクラスで、目立つ者同士。関わる機会も多かった。だから確実に距離が近づいてるのはわかっていたけど、なんせ手あたり次第な印象もあってなかなか踏み込めない。

そんな状態を「アリスっておれと付き合う気ある?」という台詞で打破してきた。


だから言ったの。一番にしてくれないなら付き合う気はないって。


そうしたらショーマは一瞬きょとんとした目でこっちを見て、それから、軽く笑って「付き合う人のこと一番にしないやついる?」って言った。

似合わない言葉だなって、こっちも笑っちゃった。


そう。似合わない。

だけどそれはわたしたちが勝手に決めたショーマの人格。

本当は、ちゃんと時間を割いてくれた。いろんなところに連れて行ってくれた。よくギターを目の前で弾いてくれた。ギターを大事にしていた。


ちょっとだけ、みんなが知らないようなショーマを見せてくれた。だからショーマも、わたしのことは知っているほうだと思う。



順調だと思っていたけど、知らぬ間にショーマの気持ちが寧音に傾いて。

一番にできなくなったからと、別れの言葉をつぶやいた。


気持ちの変化なんて絶対にないとは言い切れない。そうわかっていたから責めるのもこわくなった。

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