世界でいちばん 不本意な「好き」


学校へ行くと、今度は久野ふみとと寧音が付き合いはじめた、ショーマを裏切った、久野ふみとから告白したとまでうわさが広がっていて、少し、恐怖を覚えた。


国民的アイドルグループのひとりだからって調子にのっている。

寧音は、そういう立場の人だから狙ったんだ。

ショーマがかわいそう。


みんな、面白可笑しく、或いは、都合良く、自分好みに事実をつくり替えていく。


なんて居心地の悪い空間。

あっこは今日も泣きそうな顔をしている。


わたし、どうしたらいいんだろう。
なんて、どうして迷っているんだろう。


どうでもいいんじゃないの?

好きじゃない。苦手。そんな人たちのうわさも、それをうわさする人たちのことも、どうだっていいでしょ。


当たり障りなく。
巻き込まれない程度に。

そうやってきたし、これからもそうやっていくつもり。


それなのにどうして、耳が痛くなるんだろう。



「史都って本当はそういう人なのかな…」


あっこがつぶやく。

そういう人って、どういうひと?



長年アイドルという仕事をがんばって掴んだファンにさえ信じてもらえない。

あのひとはキラキラしたアイドルの顔を此処でもするべきなのか。

わたしみたいにまわりと波長を合わせて、自然よりも取り繕って過ごしやすい環境にしていくのが、あのひとにとって正解なのか。


傷つきたくない。
身勝手に自分を語られたくない。

…それなのに、久野ふみとが言った、見当違いなわたしが、まぶしい。


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