ヤンデレな子犬系狼様の愛は重すぎる。

「最近おかしい」

【side 明】

 見分けてもらえた……そして、なによりも落ち着ける……。

 俺……やっぱり、恋してるっ……。

 6歳も年上の日和に……。

 それからは、しばらくポケーと上の空の日が何日も続いた。

「ねぇ明遊ぼーサッカーしよ」


「……」

「ねぇってば!!」

「えっ……?」

「どうしたの、やっぱ最近おかしい」

「そう……?」

 そんなにおかしいかな?

「そこまでじゃないでしょ」

「いや、そこまでだよ」

「……そっかぁ」

「いや、そっかぁじゃなくて……」

「あ、もうこんな時間。学校行こう」

「は、話遮るな!!」

 たまにはいいだろ……お前だっていっつも人の話聞かないんだから……。

 そんなことを思いながらも、車にのり小学校に向かう。



 学校に着き、早めに教室に入って、授業の準備をしていた。

「ねぇ!先生まだ来ないしサッカーしよー!」

「うるさい」

 まったく……。

「いいでしょ!」

「お前は子供すぎる!もう11歳なんだよ?」

「んなこと言ったってさ〜ちゃんと運動して健康でいないと、日和に心配されちゃうよ」

「……」

「ねぇ明」

「なん——」

「俺が日和はもらうからね……?」

 耳元で、コイツの聞いたことがないぐらいの声の低さで、そう囁かれた。

 一瞬、鳥肌が立った。

 コイツ……こんな声が、出せるのか……。

「わー!おはよう明くん〜!」

「……」

 コイツは、ぶりっ子で有名な……名前、忘れた。

プルルル

 ん?電話?

 俺は、まぁ財閥力のおかげでスマホを学校に持ち込んでいる。

 もちろん、舞はふざけるから持ってこさせてない。

【あ、もしもし、明?】

「感にぃ?どうしたの?」

【あのさ、お前、理科のノート、自分の部屋に忘れてんぞ】

「えっ?」

【大丈夫か?お前、滅多に忘れ物なんてしないし……】

「執事かメイドに届けさせてくれる?」

【あ、ああ……】

 久しぶりに忘れ物なんてしたなぁ。

「じゃあ切るね。朝の会始まる」

【わかった】

 理科は、5、6時間目だから、まぁ届けてくれれば余裕で間に合うだろう。

「ねぇ明、この問題わかんない」

「きゃー!明様と舞様が接近してる〜!」

「天使〜!!」

「あ”……?お前、女子に聞けば?」

「え、やだ日和以外気持ち悪すぎるよ」

「それは否定しないけど、やめてくんない?」

「おい!結城喋るな!」

「「はーい」」

「ほら、怒られたじゃねぇかよ!!」

「え?お前だって悪いよね……?」

「っ!」

 また低い声で……。

コンコンッ

 誰だ?

 まぁいい、いまは舞をどうするかだ……。

「舞、お前言いつけるぞ」

「誰に?」

「母さん」

「え?やだ本当にめんどいから」

「じゃあ大人しくしてろ」

「はーい」

 ふぅ……よかった……。

「明様っ……」

 え?いま、日和の声?

< 98 / 140 >

この作品をシェア

pagetop