あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
お昼を終えるとすぐに準備に取り掛かった。
車にテントと寝袋、お弁当、それに柊一が飽きないためのおもちゃなどを積み込んだ。
「明日の朝には帰ってくるから朝ごはんよろしくね〜」
「はいはい。でも森は寒いからあんまり寒かったら帰っておいでよ」
「うん」
私と柊一は祖母に見送られ蛍の森へと向かった。
といっても今は蛍の時期じゃない。
季節は秋で森は一面落ち葉の絨毯が敷き詰められた状態だった。
柊一は興奮しながら走り回り落ち葉を拾っては投げて遊んでいた。
その間に私はテントを貼った。
森には松ぼっくりやどんぐりの木もあり、柊一は真剣に松ぼっくりを集めていた。
遊びすぎたのか、夕ご飯のお弁当を食べ終えると眠たくなったのか爆睡してしまった。
あんなに月を見るのを楽しみにしていたのに……。
毛布をかけてテントを閉め、私は一人夜空を見上げた。
すっかり日は沈みうっすらと月が見え出した。遮るものがないこの場所に浮かんだ月が夜空を照らし出した。
「これがブルームーンなんだ」
この二年、本当に色々とあった。
仕事での大きな挫折。悠一さんとの出会いと別れ。
柊一の出産、そして彼との再会と別れ。
だけどその全てに後悔はない。
どれも私には必要なことだったと思う。
今思えば、柊一が肺炎になったのだって、もしかすると彼と引き合わせるためだったのかもしれない。
彼に柊一を抱っこしてもらえたことは偶然ではなく必然だったのだろうと今は思える。
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