あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
「君はおじいさんの気持ちを考えたことある? おじいさんがどんな思いでこの土地を手放したのか知ってる?」
私は何も答えられなくて下を向く。
「おじいさんは、あまり資産価値のないこの土地を自分たちの子や孫に相続することを躊躇していたんだ。みんなそれぞれこの島を離れて、別の場所での生活があるのだからそれを犠牲にしてまで守ってほしいとは思っていないんだ。だからといってそのまま放置するというのはここを間も守ってきたものとして意に反するから大事に受け継いでくれる人がいたら売ってもいいと言ったんだ」
じいちゃんが私たちのことを思って決断したのはわかる。
でも、一言でいいから言って欲しかった。
「だったら私がこの森を管理する。だからここを返してください」
だが、悠一さんは表情を曇らせた。
「本気でそんなこと言ってるの?」
「本気です」
「じゃあ君はこの過疎化の進んだ、島を一生かけて守っていくっていうんだな」
「そ、そうよ」
「じゃあ、ここで結婚相手を見つけて、蛍の森を守るためだけにノープランで一生ここに住み続けるってことなんだな」
「そ、そうよ」
当たり前じゃない。私が結婚?
誰も私をもらってくれたりなんかしないわよ。
そもそも柊一がいるのに結婚なんてするわけがない。
だけどそんなこと彼にいえるわけがない。
すると悠一さんは呆れた様子で頭を抱えると空を見上げた。
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