あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
どうぞ」
コーヒーをテーブルに置く。
「ありがとう。座って」
「はい」
二人がけのソファに座る。
彼はコーヒを一口飲むと美味しいと笑顔を向けた。
こうやって座ってちゃんと話すのは東京でのあの日以来だ。
彼はマグカップをテーブルに置くと、ずっと気になっていたと前置きをすると、私たちが別れたあとのことを聞いてきた。
私は、あの時言えなかった本当のことを話した。
「仕事を辞めた理由は話しましたよね」
「ああ、君のデザインした作品が別名義ででたんだったね」
私は小さくうなずいた。
「その後、他のジュエリー関係の仕事を探して面接までは良かったんだけど、どこもダメで、ひどいものだと、内定をもらったにもかかわらず、断られて」
今思い出してもあれはキツかった。
「それって……」
「一種の妨害ですよね。この業界結構せまいですから……東京での居場所が無くなったって思って、祖父母の住むこの島で今後のことをゆっくり考えようと」
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