あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
誰だろうと思いながらスマホを手にした俺は現実に引き戻されるような気持ちになった。
「もしもし」
『もしもし悠一さん? 由理恵です』
「ご無沙汰してます」
彼女は俺の婚約者の由理恵だ。
婚約したと言っても直接会ったのは片手ほどだ。
婚約者なのにと思うかもしれないが、お互いに望んだ結婚ではないからだ。
彼女とお見合いをした時に提案されたことは、結婚まではお互い自由でいようということだった。
彼女には元々付き合っている男性がいた。
好きだけど一緒になれないことも承知で付き合っている。
それも俺と結婚するまでだ。
おれは、この通り本気で好きになった翼に過去のことと片付けられた。
だが諦めたくても諦められずもがいている状態だ。
『相変わらず、未来の旦那様は堅苦しい言葉遣いね」
皮肉まじりの言葉だが、返す言葉など何もない。
それほど俺は彼女にたいして恋愛感情が持てないし、今後も今以上の感情は持たないだろう。
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