あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
「ところで、今日はどうされましたか?」
『それがね、父から結婚式に向けての話は進んでるのか? って催促されて」
結婚すると決まってはいるがお互いに結婚を望んでないもの同士。
進むわけがない。
「まあ、そうでしょうね」
ところが今日の由理恵は違っていた。
『でも、私もそろそろ本腰入れてみようかと思って』
「え?」
『結婚よ。母に言われたの。子供は早く産んだほうが楽だってね。それに私たちが結婚する理由って会社のためでもあり、子孫を残すことでしょ」
まさか由理恵の口から子供という言葉が出てくるとは思いもしなかった。
——俺と由理恵の子供か……
愛する人との間にできた子供なら心から愛せるが、由理恵との子供を俺は愛せるのだろうか。
ふと脳裏に映ったのは翼の顔だった。
もし翼との間にできた子供なら、愛してやまないのに……。
『悠一さん? 聞いてる?』
「ああ」
『それでね、近いうち東京に戻ってこれないかしら』
翼がこの別荘に通ってくれている間は東京に戻りたくない。というのが本音だ。
「いまいそがしくて、正直いつそっちに行けるか明確なことは言えない。悪いが君の方で決めてくれないか?」
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