死なないあたしの恋物語
☆☆☆

4月5日。


今日は渡中学校の始業式だ。


グラウンドに張り出されたクラス表を確認すると、あたしは2年B組だった。


今回も2人の親友が同じクラスにいる。


1人は真夏みたいにパッと明るい性格をした子で、もう1人は綾みたいに読書家な子だった。


あたしははやる気持ちを抑えながら昇降口で靴を履き替え、階段へ向かう。


3年生は1階に教室があるから、そちらへ流れていく生徒たちへ思わず視線を向けた。


見知った顔がちらほらと見えて、その中に綾と真夏の姿を見つけた。


「あっ」


思わず声を上げて立ち止まる。


2人もあたしの声が聞こえたようで振り向いた。


一瞬視線がぶつかる。


もしかして……?


そう思ったが、2人は互いに目を見交わせて首をかしげ、歩き出した。


……そうだよね。


一瞬記憶が残っているのかと思って期待したけれど、そんなことはない。


だって、あたしが2人の記憶を消してしまったのだから。
< 121 / 126 >

この作品をシェア

pagetop