死なないあたしの恋物語
考え込むような沈黙が流れる。


「どこかで聞いたことがあるような……」


あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


洋人君の心の中に、あたしは残っているだろうか?


しかし、その答えが出るより先にホームルームが始まるチャイムが鳴り始めてしまった。


「行かなきゃ。じゃあまた、千奈」


洋人君があたしへ向けて手を振る。


「あ、はい」


あたしは慌ててお辞儀をする。


そして顔を上げたとき、呆然としている洋人君と視線がぶつかった。


「先輩?」


「あ、いやごめん。なんでか自然と呼び捨てにしちゃって」


そう言って自分の頭をかいている。
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