死なないあたしの恋物語
「そんなわけないじゃん。この奥の森に行ったってなにもないし、こんな写真じゃ千奈だってわかんないじゃん」


真夏の声がきつくなる。


綾もさっきから不満げに眉を寄せていた。


まずい、このままじゃあたしのせいで喧嘩になっちゃう。


早くなにか言わないと。


怪しまれず、それでいて角が立たないようななにかを……。


焦って余計に頭の中が真っ白になったとき、洋人君が近づいてきた。


「なにしてんの?」


いつもの調子で、なんでもないように話しかけてくる洋人君に美鈴さんと雅子さんの頬がピンク色に染まった。


それは恋をする女の子そのもので、少しだけ胸が痛んだ。
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