死なないあたしの恋物語
『改まってどうしたんだよ?』


洋介君の表情が少し期待に輝いているのがわかって、申し訳ない気分になった。


きっと、洋介君は本当に期待していたんだと思う。


受験生になる前に、あたしたちが恋人になれることを。


あたしはグッと拳を握り締めた。


洋介君が考えていることと、全然違うことを今から伝えなきゃいけない。


それがとてもつらかった。


『あのね、驚かずに聞いてほしいんだけどね』


そう前置きをすると、洋介君の表情が一瞬でこわばった。


なにかよくないことを伝えられるのだと、感づいてしまったようだ。


『なに? もしかして、引っ越すとか言うなよ?』


『そうじゃないの』


あたしは左右に首を振って否定した。


引越しくらいならどれだけ良かっただろうと思う。


あたしは洋介君との楽しかった1年間を思い出して、思わず涙が滲んでしまった。


『なんだ。一緒にいられるんだ?』
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