【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「…何で、何も言ってくれないんですの?!」
「な、何がですか…? る、ルナさん近い…」
ルナが近づいてくる度に、後ずさる。 それでも彼女は薄い唇をムッと結び、不機嫌な表情をこちらへ投げかける。
「婚約者の事です…!」
「…ルナさんの婚約者と僕は関係ありません…」
「それは…白鳥さんは私がほっくんと結婚してもいいと思っているという事なんですか…」
不機嫌そうな顔から一変、悲しそうに唇を噛みしめると下を向いてしまった。 ルナに婚約者がいようと、結婚しようと…俺には全く関係ない。
じゃあ、どうして俺はこんなに苛々しているというのだ。 胸がもやっとする理由は何だ? まさかこの俺が…こんな世間知らずなお嬢様を…こんな面倒くさくて重そうな女に恋愛感情を抱くなんて
そんな事は絶対にない。 でもどうしてだろう。 どうしてルナが苦しそうな顔をすると、こんなに悲しい気持ちになるんだ?
「…とても良さそうな男性じゃないですか…。
阿久津フーズファクトリーは…大きな会社だし、阿久津さんもルナさんを好きそうだし
それこそアレだ。ルナさんの望む王子様はああいった男性ではないですか…?」
「私は…ほっくんをそんな風に見たことはないです…!私は、白鳥さんが好きなんです!」