【完】嘘から始まる初恋ウェディング
電車が動き出すと安堵の表情を浮かべて、ホッと胸を撫でおろした。
しかし最寄りの駅について飛び出すように電車を出て行ったかと思えば、真っ白の傘を忘れて行きやがった。
走ってはいるが、時々足元を気にして立ち止まり、足首を押さえて顔を歪める。 どうやら靴擦れか何かをしているようだ。
そして会社に行くまでのコンビニに立ち寄ろうとしたが、生憎レジは数十人並んでいたようで諦めた。 諦めて走り出そうとした彼女の目から猛スピードの車が走り抜けようとしていて、思わず目の前に立ち塞がり彼女を庇った。
うわぁーーーーーーッ。最悪。
おろしたてのスーツは水浸しになってしまったが、依頼人の第三者を守るのが俺の仕事だ。
爽やかな笑みをルナに向けて、自分の傘を彼女に手渡す。 しかしなんつー要領の悪い女だ。
それが彼女の第一印象だった。
かくして俺は、彼女の勤めるチェリーチョコレートカンパニーに潜入し、桜栄家への潜入にも成功した。
色々と無理のある設定ではあるが、依頼人の妻である桜栄 真子にも気に入られ、当の本人であるルナにも何故か気に入られた。 というよりかは大歓迎だった。
趣味の悪いでけー白い家には、桜栄ルナとその両親。 そして何とも立派な犬と猫が居た。