【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「本当にジュリエットは白鳥さんが大好きよね…? すっかり私よりも白鳥さんに夢中みたい…
ジュリエットにも白鳥さんの優しさは分かるのかしら?」
そうだとすれば、この犬は人を見る目がない。 俺に敵意を向けるあのクソ生意気な猫の方がずっと見る目があるってもんだ。
しかし今日は、金曜日。 明日の楽しみを胸に、今日くらいサービスでジュリエットの遊びに長く付き合ってやってもいい。
「翔さんは本当に優しいわよねぇ。 いいって言ってるのに、食器洗いのお手伝いもしてくれるし」
「それは…居候の身ですから、僕に出来る事があれば何でも言って下さいね?」
今日も完璧な笑顔を母娘に向けて、すっかりと単純な二人は騙されてくれている模様。
お前は撫子と違って要領が良いな。と小さい頃親父に褒められたのを思い出した。 近所でも相当な悪ガキだったに違いないが、大人たちは皆知らない。
あんな息子さんが欲しいわあ、と愛想が良く計算高い俺に周囲は声を揃えて言っていた。 年の離れた撫子は「お兄ちゃんは、ずるい」といつも言っていた。
その度に「お前も少しは世渡り上手になれ」と怒られてばかりの撫子に言ったものだ。