俺が優しいと思うなよ?
月見うどん、美味しかったな。
仕事も出来るし、料理も出来る。おまけに面倒見もいい。少し強引なところもあるけど、少し何を考えているのか分からないところもあるけど。しかしそんな謎の部分を差し引いても、彼の魅了されるルックスで大きなお釣りが返ってくる。
成海さんを狙う女性たちはそこまで計算しているのだろうか。成海さんに振り回されても彼の外見で全てがチャラになるのだろうか。
今、キッチンで機嫌良く洗い物をしている成海さんを横目で覗く。少なくとも、これだけは肝に銘じておかなければ。
──……成海さんの家に泊まったことは会社の女の子たちには絶対に言えない。
スケッチブックに勾配のある屋根を描いていると、
「三波」
と呼ばれた。振り向けば、成海さんが私の綺麗に畳まれた服を差し出していた。
「そろそろ出かける支度をしろ。俺も着替えてくる」
と、言った。
「はい」と返事をして、今になってハッと気がついた。
──私の顔、スッピンだった!成海さんの家なのに自分ん家並みに寛ぎすぎたーっ!
昨日は借りてきた猫のように緊張して大人しくしていたのに、今日はしっかり二度寝して当たり前のようにご飯を食べ、お化粧もしないでのんびりと教会のことを考えていたなんて。
普通、一晩お世話になった女子ならば、お礼として食事を用意するとか洗濯や掃除を手伝うとか……。と、完璧に整った部屋を見回して、私は己の女子力の無さと気遣いの足りなさにガックリと肩を落とした。