俺が優しいと思うなよ?
そして、今に至る。
エレベーターで降り立った、大政建設創立記念パーティー会場前の受付ホール。ここが待ち合わせの場所だ。
しかし。
どこを見ても、何を見ても、誰を見ても、全てがセレブリティに満ち溢れて眩しい。ちょっと座れるパイプ椅子とか、暇つぶしに読める雑誌とか新聞とかが逆に不釣り合いに見える。数えるくらいしか座ったことのない革の高級ソファの応接セット、歩き慣れないふかふかの絨毯が当たり前の空間。大きな花瓶に華やかに飾られた沢山の大輪の花たち、壁には豪華な額縁の多分有名な画家の大きな絵。
慣れない居心地の悪さに、ホールの隅でハンドバッグから取り出したスマホを握りしめた。
──成海さん、早く来ないかな。
私はみんなが受付で見せている招待状を持っていない。多分、成海さんは大政建設の社長の身内という立場を使っているのだろう。
スマホの時計はパーティーの始まる五分前だ。ホールで談笑していた人々が会場へと進んでいく。静かになったホールで、私はぽつんと一人で立っていた。
人がいなくなって初めて気づいたが、このホールは十分な広さがあった。ここで人が集まるイベントなどがあっても十分収容できるくらいだ。
「広いホール……」
そんなことを思いながら目の前のホールを眺めていた。
「あの、お客様。そろそろパーティーが始まりますが」
と受付のスタッフらしき女性が声をかけてきた。私は慌てて返事をした。
「あ、すみません。ここで連れと待ち合わせしていて……」
「あの、もしよろしければ招待状を拝見致しますが」
「えっと、私はその連れのゲストなので……」
私はしどろもどろになって辺りに成海さんがいないかとキョロキョロしてしまう。