俺が優しいと思うなよ?
獣と過去



壁紙も、家具も、窓の位置も。

見覚えのあるこの部屋に連れて来られ、この椅子に座らされて何時間が経ったのだろう。目の前のテーブルにはノートパソコンや図面、スケッチブックなどが雑に並べられている。

そして、テーブルの向こうには片手に持つスマホに目を向けている西脇が座っていた。

──まさか、こんなことになってしまうとは。

見たくない男の顔を前に、私は心の中で大きなため息を吐いた。



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