俺が優しいと思うなよ?
「……っ」
再び晒されていく、自分の体。
屈したくない。
そう思っていても、裂かれた服を見る勇気もない私は臆病者だ。
「ホントにお前の体は俺好みだ……」
西脇はそう言って弱々しいキャミソールの上から、胸の膨らみを撫で上げていく。ぞくぞくと全身で怯える。
「やっ……!」
──また、あの時と同じことが……。
三年前の出来事が記憶から引っ張りだされていく。
三年前。西脇の言いなりだった私は服を裂かれることはなく、今思えば私をずっと見つめて気味悪いくらいに優しく扱われ、雄の姿を見せた時は熱く激しく求められた。彼だけを見ていた数日間、まるで洗脳されたような生活だったように思う。
今、西脇の手は私に触れているが、彼の中の気持ちは他を向いているようだ。あの時と違うのは私を見つめていない、ということ。
──もしかしたら、逃げられる隙ができるかも。
西脇が何を考えているかは知らないが、今は自分を優先すべきだ。
やっと、そう考えられるようになったのだから。
そう思っていたが、手足の自由を奪われてどれくらいの時間が経ったのか。さすがに腰の痛みに我慢ならず、グッと腰を浮かせてしまう。
それに気づいた西脇が私を見た。
「そんなに泣くなよ。……なぁ、科学館のデザインを描いてくれよ。頼むから」
胸を撫でていたその手で、今度は頬を撫でていく。
西脇の言動に集中して、言われるまで自分が泣いていたと気づかなかった。撫でられる自分の肌の湿り気を感じる。
──いつから泣いていた?西脇に押し倒されたとき?
頬から男の手が離れ、その体が私の上に覆い被さってきた。
「!いやっ!」
頭の中で警鐘が鳴り響き、私は叫び体をグイグイと動かして暴れる。
「暴れると余計痛くなるぞ」
と、西脇は両手首を掴む手の握力を強めた。
「うっ!」
その手首の痛さに呻く。
「聖、俺だってお前に手荒なマネしたくねぇよ……」
そう言って、首筋に顔を埋めてくる。
「あっ、西脇さ……やめてっ」
ぞわりとした感覚に、首を振って拒否をする。
チクリ。
「!!」
首に走ったその痛みが何かくらい、わかる。
──……成海さん……。
「いやっ!」
必死で声を上げ、バタバタさせた足が西脇の足から解かれ、その勢いで私は彼の足を蹴った。
もう、どんなに抵抗をしても、この人に抗うことなんてできないだろう。
──成海さんの前に立つことすら、きっとできない。
今度は自分が涙を流して泣いているとわかる。
熱い、熱い、涙を。