俺が優しいと思うなよ?
その後すぐに響社長が現れ、私の姿を確認すると固くしていた表情をふっと崩して、
「無事でよかった」
と頷いてスマホを手にどこかへ電話し始めた。
そして、西脇は見知らぬ男性二人と部屋に入ってきて、一人の男性が足の手錠を外してくれた。
成海さんは西脇から私を隠すように抱き寄せ、
「あの人たちは刑事さんだ」
と教えてくれた。
刑事さんに手錠をかけられた西脇が、リビングから出ていく。成海さんの腕の端から、私はその姿を見ていた。
西脇と視線が合う。何か言われるのではないかと、私はグッと体に力を入れる。それに気づいた成海さんは更に私を隠すように抱えて西脇に向けてギロリと睨んだ。まるで猛獣が威嚇しているようだ。
西脇は自分の両手にあるそれを見たまま俯いたままだ。
「……三波、ごめんな」
消えていくように小声でそう言い残した。その横顔の表情はよく見えなかったが、刑事さんたちと共に部屋の外へと去っていった。
マンションの外には他の刑事さんがいるらしく、私は別の車で事情を話すために警察署へ行くことになっている。成海さんは特別に私との同行を許可されているらしい。
響社長は一度会社へ戻ると言って部屋を出ていった。響社長と入れ違いに警察の人が何人か部屋に入ってきた。
私は成海さんに守られるように抱き寄せられたまま、部屋を出た。
やっとこの部屋から解放されたというのに、嬉しいという気持ちは少しもなかった。隣に一緒に歩いてくれる成海さんも、私の様子を見ていたが口を開くことはなかった。