俺が優しいと思うなよ?

ぽん。

頭の上に重さを感じて見上げると、目を細めた成海さんが、じっとりと私の顔を覗き込んできた。
「まだ風呂に入ってないのか」
「はは……すみません。今からいただきます」
私はピンクのパンツを握りしめて部屋を出ようとした。

「ああ、三波。お前、好き嫌いはあるか?」
そう呼び止められて、私は振り向いた。成海さんは後ろ姿で冷蔵庫を開ける。上下が黒のスウェット姿の彼は、彼に好意がある女性たちにはレアかもしれない。
「特にはないです」
「そうか。あ、服は洗濯かごに入れておいて。後で洗濯しておくから」
「ありがと……えっ?」
ドアを開けた私はビックリして振り向いた。危うくとんでもない言葉を流してしまうところだった。

「な、成海さんっ、洗濯は自分でやりますからっ」
と、彼に詰め寄った。
私に振り向いた彼の手には玉ねぎとピーマンがある。何も言わない彼に、もう一度言う。
「あの、聞いてます?洗濯は……」

「洗濯は、俺のと一緒でいいよな?」
言葉を重ねてきた成海さんは、目の下をがほんのりと赤かった。そんな甘い顔をされてしまうと、せっかく落ち着いたドキドキがまた始まってしまう。
「お、お、おねがい、します」
ここの家主は成海さんだ。任せてしまうしかないと、私は小さく頭を下げた。

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