エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

『ええ。この子ってば、大学時代に恋人がいたきり、まったく恋愛に無頓着なの。だから、せめてお見合いでもいいから相手を見つけなさいと言ってるのに、いつもこの調子なのよ』

 叶未はあからさまにショックを受けた表情をし、途中からは母の言葉など聞こえていないかのように上の空だった。

 その反応を見た俺は、胸にあふれる喜びを押さえることができなかった。

 俺の見合いや、元恋人の話を聞いてそんな顔をする理由は、ひとつしかないだろう。なんだそうか、俺たちは両想いだったのか。

 叶未の想いをすっかり確信した俺は、叶未に逃げられないようその場で母に結婚宣言をし、焦りながらも頬を紅潮させる彼女をますます可愛く思い、強引に契約書を準備した。


 無事に入籍を果たした俺と叶未は、夫婦の営みを始めてからはますます仲睦まじい毎日を過ごしている。今夜は、楽しみにしていたハロウィンパーティーだ。

 自社のオフィスの中で百五十名以上の人数が収容できる最も大きな会議室を使って開催されるそのパーティーは、社員同士のコミュニケーションの向上を目的として、数年前に父が発案した。

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