エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
幸い、その日は余計な考え事をする暇もないほど忙しかった。
ジュエリー久宝は、来年新たなオリジナルブランド『プレシャス・ハグ』を立ち上げる予定だが、そのデザイナーに相応しい才能あるクリエイターを発掘するため、先月からデザインコンペを開催している。
身につけるだけで、まるで大切な人に抱きしめられているかのように温かく心強い、特別なジュエリー。それが、プレシャス・ハグのブランドコンセプト。
中でも今回はネックレスのデザイン画を募集していて、審査は当社専属デザイナーのほかブランドの営業担当者、そして久宝社長が行う。
社長ももちろんすべての応募作品をチェックするのだが、ターゲットとする消費者と年齢が近い私の意見も参考にしたいとお願いされ、私も目を通すことになった。
業界屈指の売上げと影響力を誇るジュエリー久宝の新ブランドでデザイナーを務められるチャンスはそうそうないので、募集開始からひと月経った現在、当初は少なかったデザイン画が次々到着し始めている。
少しでも手が空けばそれらをチェックする時間に充てていると、あっという間に一日が過ぎていった。