エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

 翌週末、社長の車で福島の実家へ行き、両親への挨拶を済ませた。

 我が家は、少しリフォームしてあるとはいえ築百年を超える古民家をそのまま利用している家だ。

 社長は昔ながらの土壁や屋根を支える立派な梁にわくわく瞳を輝かせて『こんな家で少年時代を過ごしてみたかったです』としみじみ呟き、両親を喜ばせた。

 もちろん挨拶自体も完璧で、『必ず叶未さんを幸せにします』と宣言した彼に、両親はもとより私も感動してしまい、目頭が熱くなった。

 私たちは大恋愛の末に結婚するのとは違うけれど、ともに仕事をするうちに培った信頼や情がある。

 その上社長は契約の証にモルガナイトのピアスを贈ってくれたり、私の両親に対しても誠意を持って接してくれる。

 結婚生活も、きっとうまくいくはずだよね?

 東京に戻る車の中、運転する大和さんの横顔を盗み見ながら、誰にともなくそう問いかけた。

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