癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
風の国の森の中


ソフィアとアンは荷馬車を乗り継ぎ、半日かけて風の国に着いた。鬱蒼とした森の奥に魔抑石の洞窟があると地図に書かれていたので、地図の示す通りに森の中へ入った。

「ソフィア様、もうすぐ日も暮れます。夜の森は危険です。一旦引き返して、街中で宿に泊まって明日の朝出直しましょう。」

「分かったわ。」

ソフィアは以前、森の中で怖い目に遭ったので、アンの言葉に素直に従った。
引き返そうと歩き出したとき、微かにうめき声が聞こて、足を止めた。

「ソフィア様?どうかされましたか?」

「しっ!何か聞こえるわ。」

耳を澄ますと、

「ウウッ。」

と、確かに声が聞こえた。それも苦しんでいるような声だ。

2人は声のする方へゆっくりと近づいていった。すると、木と木の間から、銀色の毛並みの狼が横たわっているのが見えた。よく見ると狼の足には大きな矢が刺さっており、そこから血が滴り落ちていた。

「大変!怪我をしているわ!」

ソフィアはそう言うと、倒れている狼の側に駆け寄ろうとした。

「ソフィア様、近づいては危険です!!その毛並みの色からして魔物かもしれません!!」

と、アンが即座にソフィアの腕を掴み止めに入ったが、ソフィアは、アンの手をそっと解きながら

「ドラゴンのニックも魔物よ。癒しの力を使える私も魔物と同じだわ。私の力は使うためにあるの。人も魔物も関係ない、命あるものはすべて同じよ。」

と言って、銀色の狼に近づくと、そっと狼の体を撫でながら

「大丈夫よ。」

と言ってから、ソフィアは

「矢を抜くわよ!1,2,3!」

3の掛け声と同時に矢を真上に抜き取った。

「ガウッ!」

と、狼が牙を見せた。
ソフィアはそんなことはお構いなしで、直ぐさま、

「天に御座します我らが光の神よ。我に癒しの力を与えたまえ。」

と、祈ると、ソフィアの手の平に大きな光の玉が現れた。ソフィアはその光の玉を足の傷口にそっと当てると、傷口に光の玉が吸い込まれ、みるみるうちに矢が刺さっていた傷口はきれいに塞がり、傷だらけだった身体も1つ残らずきれいに傷が消えて行った。
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