癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
ガラガラと大きな音を立てて走っていた戦闘用馬車の列は、ロエル達の前で止まった。
ロエル達も、土の国の一行に向かい合うように、馬を止めた。
戦闘用馬車には、口元しか見えないくらい深くフードを被った御者の隣で、ビアンカ女王が座っていたが、ロエル達を見るとその場で立ち上がり、声を掛けてきた。
「これはこれは、ロズウェル王。久しいな!」
「お元気そうで何より。ビアンカ女王。」
「風の国の連中は、わざわざ私を呼んでおきながら、国境に到着するなり、魔物討伐は終了したと言われてね。失礼にもほどがあると思わないか?」
「平和が何より。無用な争いがなくなって良かったと思いますが。」
「魔物はお前が捕らえたのか?」
「ええ。火の国で面倒を見ます。」
「ほう。それは面白い。」
ロエルは振り返ると、シルバーに向かって、
「シルバー、ビアンカ女王に挨拶を。」
と言うと、シルバーは馬から降り、ビアンカ女王の馬車の前まで行くと、片膝をつき、丁寧に挨拶をした。
「お目にかかれて光栄です。ビアンカ女王様。」
「ハハハッ。早速手懐けたのか。これはいい!なぁ、アイス!」
と、ビアンカ女王は、隣でフードを被った御者のアイスの肩をポンと叩いて言った。
アイスはビクッと肩を震わせたが、決してフードから顔を見せずに、
「はい。」
と、小さく頷いた。
「バスク王子にひとこと言ってやらんと気が済まん!このままブラスト城にいくぞ!」
「かしこまりました。」
「では、ロズウェル王、またな。」
と、言うと、大きな車輪がガラガラと音を立て、ロエル達の横を通り過ぎて行った。
シルバーは、騎士の馬には戻らず、なぜかロエルの方へ歩いて行くと、
「やはり私は風の国に残ります。」
と言った。ロエルは、
「恋人捜しはいいのか?」
と、確認したが、シルバーは、落ち着いたトーンで、
「もう、見つけました。」
と言った。