癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
部屋の中は、吹き抜けで天井が高く、窓は上の方に小窓がいくつかあるだけで、そこから月明かりが差し込んでいた。
明かりといえるのはそれくらいだったが、その月明かりで、床に大きく描かれた魔法陣を、はっきりと見ることが出来た。部屋全体は薄暗く、強めの花の香りがした。全員が部屋に入り終わると、

ギギギー、ドン

と、大きな音がし、振り返ると先程の大きな扉が閉まっていた。

リンデルは、ソフィアの方に魔法の杖を差し出し、

「ソフィア、これを。」

と、言って、ソフィアに預けた。

「はい…。」

ソフィアは恐る恐る魔法の杖を受け取ると、胸の位置に両手でしっかりと握りしめた。

リンデルは懐中時計で時間を確認すると、

「さあ、魔法陣の中へ!」

と、4人を魔法陣の1番中心近くの円の中に立つように言った。

ソフィアは恐怖心からか緊張しており、先程までの笑顔が消えていた。それに気づいたロエルが、小声で、

「怖かったら手を繋ごうか?」

と、ソフィアに声をかけた。

「だ、大丈夫です!」

と、ソフィアは慌てて答えた。ロエルはニッコリと微笑んで、ソフィアの腰にそっと手を添えた。
ソフィアは驚いてビクッとなったが、大きなロエルの手が体に触れていてくれるだけで、不思議と恐怖心がなくなった。

「さあ、目を閉じて!」

と、言うリンデルの声に、一同は微動だにせず、じっとしたまま目を閉じた。

リンデルは再び懐中時計で時間を確認すると、仰ぐように両手と顔を天井に向け大きな声で、

「西の魔女リンデルの名において、東の魔女ベルデの元に、ロズウェル、ソフィア、ハリス、シルバーと魔法の杖を送喚する!」

と叫ぶと、ブワッと吹き上げる風と共に強烈な光が魔法陣から天井に向かって円柱状に伸び、4人を光の中に閉じ込めた。

ソフィア達は目を瞑っていたが、目を閉じていても、分かるほど、強烈な光りだった。

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