王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
クママルの甘さを戒めるためだ。
少女ゆえの感傷とバカが付くぐらいのお人好しから、クママルは困る人を見捨てられない。
それはそれで美徳ではあるが、あまりに無防備で時にはあまりに愚かにもなる。
関わった全ての人を幸せに出来る方法など、ありはしない。
もしもクママルが余るほどの金持ちであれば、もちろんこの親子は簡単に助けられるだろう。
クママルが個人として継続的に援助をすればいいだけの話だ。
しかし、現実には。
クママルもメイフュもたびたび路銀を稼ぎながら旅をする身分。
時には自分たちが食べる事さえままならない時もある。
そんな状況の自分たちが他人を助けるとしたら、せいぜい力仕事やちょっとした手伝いくらいだ。
こういったケースでは敢えて干渉しない方がいい、とメイフュは判断した。
ことはこのキュリオ親子だけの問題ではないからだ。
この貧民街全体が高い失業率や先年の飢饉などに苦しみ、日々の暮らしに事欠いてる。
個人的な同情心だけでどうこう出来るほどの簡単なものではない。
おそらくは根本的な解決をせねばならないだろう。