王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
「……わかってるよ!」
唐突にクママルは叫んだ。
目に涙を浮かべて、頬を紅潮させながら。
「メイフュは頭がいいから、あたしの考えは甘いって言いたいんでしょ?
でも、あたしだっていろいろ考えてるんだよ?
この地方は雨が極端に少ないって聞いたし。
灌漑(かんがい)もうまくいってないって。
せめて水があればってあちこちでそんな声が聴こえた。農作物がきちんと生産出来ればみんな飢えなくて済むって。
メイフュ頭いいんでしょ?
なにかいいアイデアはないかな」
のほほんとしてただけ、とクママルを見ていたメイフュは意外な面を見せつけられた思いがあった。
まさかそこまで考えていたとは、と単純に感嘆する。
「メイフュはむかし治水事業でアイデアが採用されたなら、何か灌漑の知識もあるよね?
あたしが知ってるのは本当に単純だから、土地事に応用は効かない。
地下水を汲み上げるにしても、何か手段がないと難しいし。
かぼちゃだけでもこの土地で作れたなら、いつでもこの美味しいパンプキンパイを食べられるのにね」
そう言いながらパクパクとパイを頬張ったクママルに、やっぱりとメイフュは肩を落とした。
結局行き着くのは食べ物の話か。