シークレットベイビー② 弥勒と菜摘


弥勒がランニングの格好で櫂くんの準備を待ってて、一子はパルを撫でている間にお風呂の準備。

なぜだか、弥勒が後ろに近づいてきて、両腕に抱かれて、頭にキスされた。
彼の胸に顔を埋める。


「なんか、出会った日を思い出したら、お腹すいてきた」


と耳をかじられ、長い指で顎をすくいあげられ、キスを落とされた。


「何言ってるんですか」


と弱々しく言う、ああ、もっとキスして欲しい⋯⋯ 。


「菜摘も足りなくない? 」

「お腹空いたのか? 今食べたのに」


と、着替え終わった櫂が入ってきて、菜摘はあたふたと離れるが、弥勒がまだ菜摘に腕をまわしたまま。


「愛が足りないかな」


とささやき声。


「何が足りないって? 」


と櫂が大きな声で聞く。


「弥勒、どうしたの? 」

「ちょっと、ちょっと、弥勒さん、離して! 」

「悪ふざけか? 」

「ふざけてないよ」

「違うの! 弥勒さんはね、私のことが大好きなの! 」


恥ずかしい、子供の前で、何言ってるんだか⋯⋯ 。


「早く、走りに行って下さい! ストイックにしてないと太りますよ! 」

「夜、運動してるからね、2人で⋯⋯ 」

「もう、もう、行って下さい! 」

「イッちゃうよ? 」


笑いながら弥勒がやっとドアから出た。

《菜摘は弥勒と運動してんのか? 》

と櫂の声がドアの向こうでする。
パタンと玄関の扉が閉まった。


「うんどう」


と一子まで⋯⋯ 。

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