シークレットベイビー② 弥勒と菜摘


約束した日。

公園で待っていたら、まず櫂が走ってやってきた。いつもの運転士さんは、近くで待機、後で菜摘たちも一緒に迎えに来てもらう事になっている。


「あっ」


と小さく櫂が言う。
女の子とそのお母さんが公園に入ってきて、こちらにやってきた。

亜紀ちゃんは、色白で大人しいかんじのかわいい子だった。
サラサラのまっすぐな髪を、肩ぐらいの長さで切りそろえていて、きちんとした真面目な素直なかんじだ。

この子が怒るって⋯⋯ 。
余程、櫂の態度は何だったんだろうな⋯⋯ 。


✴︎

ベンチの菜摘の左に櫂が座り、右に亜紀ちゃんが座り、亜紀ちゃんそっくりなお母さんは、おっとりと挨拶した後は、柔和に微笑みすっと身を引くように隣のベンチにきちんと座った。

一子は目の前の砂場でバケツの中に、何やらまた《ごはん》を熱心に作りはじめていた。落ち葉や木の実、小枝、小石。
一子はどこにいても、ご飯を作っている。


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