アンチテーゼを振りかざせ




《今まで社内での仕事ばかりだったので、こうして外部の方とお会いできるの、新鮮です。

色々、お話したいです。》


瀬尾さんの連絡先を手に入れた私は、訪問のお礼と共にそうメッセージを送った。

なんか、こんなに勇気出してメッセージ送ってるの初めてかもしれない。


”おしとやかな保城 紬”をいつも意識して、その状態を可愛いって素直に褒めてくれる人を、私も好きになってきたから。

この人が私にどんな印象を持っているか、それさえ掴めない状態での駆け引きは、初めてだった。


《保城さんは社交的なんですね。》



いえ、全然。
出来ればずっと家でビール飲んでたいです。

とは言わず、楽しい空間大好きです、とアピールをする。



《うちの同期にも楽しいの大好きなアホな男がいますね。》

《そうなんですか、お会いしてみたいです。》

《喜ぶと思いますよ。》

《皆さんで飲む、みたいな楽しい機会を是非いただけませんか?》

《え、ほんとですか?あいつ喜びすぎて泣くかも。》




待って、なんか思ったよりトントンと事が進む。

今週の金曜日という近い日にちが空いてるらしい、と告げてくれる瀬尾さんからのメッセージにドキドキしてしまう。

私も、本社に居る同期を2人連れて行くことになって、お店はどうましょうか、と言おうとした時。


《そのアホな同期の知り合いも、もしかしたらアホかもしれません。
でも、危ない奴では無いので安心してください。

俺は今週、残業ばかりで行けないんですが、よろしくお願いします。》


「嘘でしょ!?」

ベッドの上でスマホを握りしめながら、1人大きな声でそう突っ込んでしまった。

だけど、もう、「瀬尾さんが来てくれないと意味ない、貴方に会いたい」とは言えなくて。


ただ同期のために、企画だけやったってこと?


「同期想いなの…?なんなの…、」


溜息を漏らして、項垂れる。




私が知りたいのは、瀬尾さんのことだけです。


もしかして、もう彼女がいますか?


それとも____、




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