アンチテーゼを振りかざせ
____私の、予想外。
「……それであの、枡川さんは何者なんですか?」
「な、何者とは…?」
「枡川さんって一見クールじゃないですか。」
瀬尾さんのことが好きだと宣言した後のこの会話は、きっと枡川さんの中では流れが掴めて無いと思う。
「…でも、その見た目に反して、笑うとめちゃめちゃ可愛いじゃないですか。」
「……へ?」
「ずるくないですか?実はすごく愛想がよくて話しやすくて、商談も丁寧。
そんなもん、こっちの男はみんな枡川さんのファンですよ。」
「……こ、これは褒められてますか?」
自分でも何言ってるんだろう、そう思う。
でも。
私は、目の前でぽかんとした顔をしているこのギャップ女のことが、嫌いになれない。
この人が。
プロジェクトを適当に、
無難にこなそうとする女だったら。
仕事中も、好きな人に色目を使うような女だったら。
絶対、こんなこと思ったりしなかったのに。
本当に、プロジェクトに参加してから私には予想外なことしか無い。
「好きになってからの時間短いですし、ずっと同期で居られて仲が良くて、余裕もある枡川さんとはスタートから違いますし。
だからこそ必死ですよ。
出来る限り可愛く見られたいです。
そりゃそうです、私、あの人が欲しいんですもん。」
格好悪い本音を、わざわざ曝け出してしまった。
いつも全力で、こちらからの問い合わせに直ぐに対応してくれて、走り回って。
いつだって取り繕うことが当たり前の私にとっては、彼女は、あまりにも眩し過ぎる。
そしてそういう彼女をつい目で追ってしまっているのは、私だけじゃ無い気がした。