アンチテーゼを振りかざせ


◻︎


最寄駅に着くと、日はまだ落ちきっていなかった。

それでも確かに夜へと向かう空の色をぼうっと確認しながら、マンションへ向かう道すがら。


"……保城さん。LINEしても良い?"

"…え。"

"俺はなんか、スッパリ振られてたあの2人の慰め役みたいにあの日はなってたけど。

出会いを求めてないわけじゃないから。"

あの日、古淵さんの強引な大号令で【奇跡の出会いに乾杯】という謎のグループLINEが出来ていた。

それ以来全く動くことは無かったけれど。



"こんな風に再会できたらやっぱ嬉しいって思うから。今度、ご飯でも行きたい。"


南雲さんは、あの穏やかな雰囲気を纏いつつ、どうやら割と直球な人らしい。

きっと、社会人経験も豊富な
しっかりした大人の男の人。


だからその誘いは、
私にとって、とてもありがたいものなはず。


だって私、今日は出会いを求めてきちんと化粧をして、頑張ってインスタを見ながらヘアアレンジもして、街コンにも行ったのに。




"…分かりました。"



_____そう答えるまでに、

どうして時間がかかってしまうの。


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