アンチテーゼを振りかざせ
中央には、えらくポップなフォントで
【ビール無料券】と記されている。
「…要らない。」
自分からこれ以上、この男に関わったりしない。
私は、きちんとした年相応の恋愛をする。
険しい顔のままにそう断ると、先程私がしたのと同じように、深い溜息が聞こえてきた。
「………また"カルピスサワー"に逆戻り?」
「、…勝手に、面白半分で人のこと観察して来ないで。」
すぐ近い距離の背の高い男を見上げて睨む。
そのまま発した忠告は当然、刺々しい声になった。
カルピスサワーでいつも笑顔を振りまく私以外を知っているこの男の対処法が、掴めない。
「___面白半分だって、本当に思ってんの?」
「、」
男は、クーポンを握るのとは別の方の手で、そのまま私の頬に骨張った細い指でそっと触れた。
言葉も態度もいつも無遠慮な癖に、どうして。
「……紬。」
どうして、そんな寂しそうな声を出したりするの。
呼び捨てしてくれるな、
というかその前に触るなって、早く言わないと。
サイレンはとっくに、頭で鳴り響いている。
絡む視線の先の三白眼に孕む熱が、怖い。
____"恋愛って、計算とか出来ないでしょ。"
大人は、そうはいかない。
反対の意見を振りかざそうとする思考が、ぼやけてしまいそうになる。