アンチテーゼを振りかざせ




「保城ちゃんは、やっぱりこの会社の将来を担うね。」

安心したのか、気持ちが込み上げて直ぐにパソコンと対峙できずにいる私に、優しく声がかかる。


驚いて隣を見ると、笑い皺たっぷりのほむさんが、大きなお煎餅を差し出してくれていた。


「…ほむさんは、いつも大袈裟です。」

「そうかな??本当にそう、思ってるよ。」


___"保城ちゃん。まだ、諦めないで。"

そんなの無理だって、思っていた。

あの課長は変わらないし、仕事は減らない。


でも私は多分、"現状を変えられない自分"を、1番諦めていた。


「ほむさん。」

「はいはい。」

「…リニューアルの仕事ね、楽しいです。」

____困ったことに、とても。


お煎餅を受け取ってそう眉を下げて白状すると、彼はもっと笑みを穏やかに深めた。


「…そう。じゃあ大事にしないとね。」

嬉しそうに答えてくれるほむさんに頷いて、その後お煎餅を食べたら、またちょっと泣けた。




< 87 / 203 >

この作品をシェア

pagetop