アンチテーゼを振りかざせ
「保城さんは、何飲む?」
「あ、えっと…、」
ごく自然な南雲さんの問いに私もメニューへと視線を向けようとすると、
“……ずっとカルピスサワーなんて、飽きるだろ。“
鋭い三白眼を、ちょっと困ったようにほぐして。
いつも揶揄う口調のくせに、それを告げた時は、やけに全て受け止めるような穏やかさで。
ビールじゃ無くて、カルピスサワー。
そうやって居続けるしかないと言った私を、
簡単に制してきた。
“そんな、"もう一生飲まない"みたいなさ。“
“馬鹿なの?極端すぎ。“
「俺はどうしようかなあ。
でもやっぱ、最初はビールかな。」
目の前の南雲さんが、笑って私の回答を待っている。
「………私は、サワー系にします、」
おっけー、と軽く頷いてメニューを一緒に探してくれる彼は、優しい声色のままだ。
それが余計に申し訳なくて、笑おうとするのに曖昧な表情しかできない。
自分を隠して過ごす恋愛の限界に、
本当は、自分が1番気づいている。
それでもどうして私は、
南雲さんに、本当のことが言えないの。