訳あり無表情少女と一途な幼馴染 〜裏の仕事〜
必死に動揺を隠す中、栞は焦りを見せず無表情で

「桜井さんから全て、伺ってるんですね」
「ああ」
「では、俺に付くのも了承して頂けてると」
「最初は栞だけって指名してたけど、桜井さんから話を聞いたら面白そうだと思ってね」
「…なら、もういいですか?」
「ああ、芝居はもう止めようか」
「……、芝居?」

クス…と男が笑うのが聞こえた
栞を見ると、ニコッと微笑んでる

「アハハハッ!いやぁゴメンね?堅苦しい雰囲気出しちゃって
 全部聞いてるよ、桜井さんの弟君」

男はソファから立ち上がり、俺達に近寄る

「初めまして、俺はケイ・クルーズ。れっきとした桜井組の組員だ、ケイでいいよ」
「…え?」

うちの?

「じゃあ何で…」
「色々と疑問がある様だね」

ケイさんは栞を見る

「シオリ、俺の事はどこまで話してる?」
「基本海外にいるって事しか」
「オッケー
 まず!俺が日本にいるのは、今のクライアント達が揃いも揃って日本に移動しててな?
 メールとかじゃ済まないから俺もこっちに来たんだ
 ちなみにここは桜井家の別邸な
 次に!桜井組や俺自身が海外で有名なんだ、良い意味でも悪い意味でも!
 それは日本に来ても変わらない
 でもな?困った事に俺は武道はからっきしダメなんだ
 その分頭は良いよ?」

ケイさんは顳顬を指先でトントンッと突いてニコニコと話す
 
「普段SPしてる奴は俺の代わりに海外での仕事を任せてきた
 桜井さんのご厚意で必要な物を揃えて
 護衛をどうするかって時に、顔が見たくてシオリに頼んだんだ」
「…」

俺は栞とケイさんを見合わせ

「いつ知り合ったんだ?」

ケイさんは栞に近寄り、栞の肩をグッと抱き寄せる

「シオリが鷹になった時」
「!」

そんな前から!?

「数年前、ある仕事をする為に日本に来た
 それが終わってシオリに会おうとしたが
 海外での仕事が山積みでな、強制的に戻された」
「ある仕事?」

ケイさんが栞を見る

「いいか?」

栞が頷く
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