訳あり無表情少女と一途な幼馴染 〜裏の仕事〜
楼side
蓮は悔しそうな表情で俯いて、グッと手を握ってる
…しょうがねぇな

『試しに、組の仕事してみるか?』
『!?』

蓮がバッと頭を上げ、目を見開いて俺を見る

『組に入ろうとする奴には必ず、そういう期間を設けてる
 仮組員って奴だ
 それを経て、本当に入るかを自身で決めさせる
 親父には俺から言っとく
 お前の場合、自分が納得するまででいい
 無理だと思えば素直に言え』
『やる、いつから出来る?』
『んな即決するな』
『あ?んでだよ』
『お前、分かってんのか?
 そこらの職業体験じゃねぇんだぞ?
 極道の世界は、人間の汚い部分が曝け出されるところだ
 …実際、そういうのに耐え切れなくなって精神を病んだ奴もいる』
『…』
『試し期間でも、そういうのに出くわすかもしれねぇ
 それでも本当にやるってんなら…、改めて言いに来い』
『やるんだったら、誰に付くんだ?』
『いつもなら酒向とかに付いてもらうが…』

ニヤッと口角が上がる

『お前の目的は、栞だろ?なら、栞に付かせる
 最近バタバタしてるが、栞なら何があっても大丈夫だ』
『分かった』


< 3 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop