エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
とは思うものの、実際距離が近いのは社長の方なんですよね。
「なんか、最近俺のこと避けてないか?」
「気のせいです」
あれから二日。 今週も今日で終わる。
今日を乗り切れば、とりあえず社長の手から逃れられる。
って作戦だったのに、社長ってば勘が鋭い。
「意外と隙って無いもんだな」
少し不満げな社長がぼそぼそと何か言っている。
もうちょっとで定時。 今日は早々に失礼させてもらいます!
「今夜、空いてる?」
「えっ……?」
まままさか、誘ってる?
ディナーか何かに誘ってらっしゃる?
「新しく出来たフレンチの店、ワインが美味しいって話題になってる。 帰り一緒に――」
「すみません。 今日はちょっと……」
「……そっか。 ならまたの機会に」
あぁぁ。社長、分かりやすくしょんぼりしてる。
やめてやめて。 予定なんてないのに断った罪悪感に押しつぶされるから。
ううう。どうしよう。 社長が言ってるお店、実は私も気になってたんだよね。
でももう断っちゃった。
第一、デートじゃん! 二人きりで食事とか、いつどこで誰が見てるか分からないじゃん!
今更だけど!
その日、私は久しぶりに定時で上がった。
社長と顔を合わせるのが気まずくて。
もちろん仕事はきちんと終えたし、こんな日があってもいいよね。
土日を挟めばまた元通りになるはず。
私たちはどこまでも、社長と秘書なんだから。