エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
十九時を過ぎたころだ。
社長からメッセージが届いた。
〝営業部から預かった決算書類が見つからない。 今すぐ来い〟
うわぁぁ。行きたくないよー。
けど仕事だもんなぁ。それないと困るもんなぁ。
どうして今日なんですかー!
しかも命令口調? 逆らえないじゃないですか。
私は会社に戻るべく立ち上がった。
あれ、あれれ?
社長が外にいる。
会社に着くと、エントランスに社長がいた。
それだけで、嫌な予感を覚えたのは言うまでもない。
「社長……決算書類が見つからないんじゃなかったんですか」
「ああ、それな。 普通に引き出しに入ってたよ」
うげっと顔をしかめる。 社長は構わず続ける。
「せっかく来てもらったし、行こうじゃないか」
やられた。 まんまと嵌められた〜!
ずるくないですか、反則じゃないですか?
仕事を理由に呼び出すとか、ほんと卑怯です。
「……予定あるって言いましたよね」
すたすたと歩き出す社長に着いていきながら食い下がってみる。
「陽葵、断った後思い詰めた顔してたからなあ。 あんなの、嘘ついちゃったーって言ってるようなものだ」
「はぁ……負けました」
降参ですわ。 さすが、人のことをよく見てる。
見てるといえば、私たち、見られてないかな。
きょろきょろと辺りを見回していると、社長が不思議そうな顔で尋ねてくる。
「どうした?」
「ぁ……いえ、なんでもありません」
「一応聞く。 夕方、断ったのはどうしてだ。嘘をつくなんて、よっぽどのことがあったんじゃないか」