秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「お兄ちゃんは待っていて。私ひとりで大丈夫よ」

私が声をかけると、兄は「だけど……!」と言ってやるせなく声を荒げた。

「大丈夫だよ、斗碧。俺が責任を持って連れていくから」

涼晴の言葉に、兄は渋々引き下がる。

「わかった……もしなにか必要なことがあれば、遠慮なく電話しろよ」

「ありがとうお兄ちゃん。行ってくる」

私たちはエレベーターへ乗り込み、マンションの地下駐車場へと向かった。

涼晴は自分の車に案内し、私たちを後部座席に乗せてくれる。

「あっ、チャイルドシートが……!」

「救急搬送時は免除されているから問題ないよ。しっかり抱いてあげていて」

私は晴馬を抱いたまま後部座席に座り、涼晴は素早く運転席に乗り込んだ。

静かな車内に、苦しそうな呼吸音が響く。ふぇぇとたまに泣き声をあげる晴馬を、私は「大丈夫だよ」と笑顔でなだめた。

本当は私のほうが不安と恐怖で泣き出しそうだけれど、母親である私が情けない姿を見せるわけにはいかない。
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