秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
涼晴は病院の敷地内にある駐車場に車を停めると、私たちを連れて救急外来入口へ向かった。

ガラス扉を抜けると守衛の窓口があり、その奥に受付、脇にある長い通路には待合用の長椅子がポツポツと置かれている。

正面には処置室の扉。涼晴は迷うことなく扉を開け「連絡した患者を連れてきた」と近くにいた医師に声をかけた。

「お待ちしていました」

眼鏡をかけた若い医師が私たちを奥の処置室へと案内する。

すかさず看護師がやってきて、晴馬の指先に器具を装着した。確か血中の酸素飽和度を計る機械だったか。先日晴馬が小児科にかかったときにも、同じ器具で測定した。

結果を見た医師は、眼鏡の奥の綺麗な瞳を緩めて、にっこりと笑ってくれた。

「そこまで深刻な状態ではありませんから大丈夫ですよ、お母さん。心配なさらないでください」

きっと私が世界の終わりみたいな顔をしていたからだろう。先生が優しく気遣ってくれる。

「茜音、もう大丈夫だから、楽にして。ゆっくり息を吸うんだ」
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