秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
五分程度の吸入を終え処置室に戻る頃には、晴馬の表情はすっかり穏やかになっていた。呼吸が楽になったら眠くなってきたのだろうか、目がうとうとしている。

西園寺先生があらためて聴診器をあて、胸の音を確認した。

「よかった。発作は収まったようですね。もう大丈夫です」

安心させるように穏やかに微笑んでくれる。

「ですが、喘息であれば再び発作が起きる可能性もありますから、今後もじっくりと闘っていくつもりでいてください」

先生の言葉にまたしても緊張が走る。私の表情の変化があからさまだったのか、先生は苦笑した。

「気をつけて生活していれば、発作を防ぐことも可能ですよ。それに小児喘息は、大人になれば完治する場合も多いですから」

「成長するに従って体力がついてくるからね。症状が軽くなっていく場合がほとんどだ」

涼晴も口添えしてくれる。私は不安を引きずりながらも、なんとか頷いた。

「そう……なんですね」

喘息が治りづらい病気であることは知っている。ひょんなことで発作が起きてしまうということも。

小学校のとき、黒板を消していた友達がチョークの粉を吸い込んで発作を起こし、ゼイゼイしながら保健室に連れていかれるのを見たことがある。
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